相続 弁護士 大阪の小西法律事務所

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相続人の範囲

例外的に相続人とならない場合―欠格・廃除・相続放棄

相続放棄

ア 相続の承認と相続の放棄
被相続人の死亡によって相続が開始すると、相続人は相続開始の時から、被相続人の一身に専属したものを除く、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。
しかし、この「一切の権利義務」には、マイナスの財産である債務(借金など) も含まれます。また、事情によっては、被相続人のプラスの財産であっても、相続人がその承継を望まない場合もあるでしょう。
そこで、民法は、相続の承認と放棄の制度により、相続人に、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するか(相続の承認) 、拒否するか(相続の放棄)の選択の自由を認めています。なお、相続の承認には、被相続人の権利義務を無限に承継する単純承認(民法920条)と、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務と遺贈を弁済するという条件のもと、被相続人の権利義務を承継する限定承認(民法922条)の2種類があります。
イ 熟慮期間
(ア) 熟慮期間とは
相続の承認または放棄は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなければなりません(民法915条1項本文)。この期間は、相続人が相続財産を調査して(民法915条2項)、承認・放棄を決定するためのもので、一般に「熟慮期間」とよばれます。
(イ) 熟慮期間の起算点
熟慮期間の起算点(期間の計算の開始時点)である、「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続人が被相続人の死亡の事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時であるとされています(大審院決定大正15年8月3日)。
上記の起算点の例外として、最高裁は、熟慮期間は原則として相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算すべきものであるが、相続人が、これら各事実を知った場合であっても、各事実を知った時から3か月以内に限定承認または相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態、その他諸般の状況からみて、当該相続人に対し、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続財産が全く存在しないと信じるについて相当な理由があると認められるときには、熟慮期間は、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時、または通常これを認識することができた時から起算すべきものと解するのが相当である、 と判示しています(最高裁昭和59年4月27日判決)。
この熟慮期間は、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます(民法915条1項但し書き)。
ウ 相続の承認
(ア) 単純承認
a 単純承認とは
単純承認とは、被相続人に属した一切の権利義務を無限に承継することを承認する不要式(他に手続を必要としない)の意思表示です。
民法は、単純承認の手続・方式について規定していませんので、家庭裁判所への申述は必要ないとされています。
b 法定単純承認
以下の事由がある場合、単純承認をしたものとみなされます(民法921条)。これを、法定単純承認といいます。
なお、法定単純承認により、単純承認をしたものとみなされた者は、後述の相続の承認の取消しがなされない限り、単純承認をしたものとして扱われることになります。
(a)相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
(民法921条1号本文)
民法921条1号により法定単純承認となる「処分」は、限定承認・放棄よりも前にされた処分に限ります。
不動産の売却などの法律行為だけでなく、相続財産である建物の取り壊しなどの事実行為も「処分」に該当しますが、保存行為及び民法602条に定める期間を超えない賃貸(短期賃貸借)は「処分」に含まれません(民法921条1号但し書き)。
なお、裁判例上、相続財産から葬儀費用を支出する行為も「処分」に含まれないとされています(大阪高裁平成14年7月3日決定)。
また、 「処分」というためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、または、相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながら、あえてその処分をしたことが必要であるとされています(最高裁昭和42年4月27日判決)。
(b)相続人が熟慮期間内に限定承認または相続の放棄をしなかったとき
限定承認も放棄もしないまま3か月の熟慮期間を経過すると、単純承認をしたものとみなされます(民法921条2号)。
(c)相続人が、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、または悪意で相続財産の目録中に記載しなかったとき
相続人が、適法に限定承認または相続の放棄をした後であっても、このような背信行為をした場合は、民法上の一種の制裁として、単純承認をしたものと扱われます(民法921条3号本文)。
ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となったものが相続の承認をした後は、単純承認をしたものと扱われないことになります(民法921条3号但し書き)。
(イ) 限定承認
a 限定承認とは
限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務と遺贈を弁済するという条件のもと、被相続人の権利義務を承継する意思表示をいいます(民法922条)。
b 限定承認の方式
限定承認をするためには、熟慮期間内に、相続財産の目録を作成して、被相続人の住所地または相続開始地の家庭裁判所に提出し、限定承認する旨を申述しなければなりません(民法924条)。
また、相続人が複数人いるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してしなければなりません(民法923条)。
c 相続財産の管理と清算
限定承認がなされると、相続財産は、被相続人の債務と遺贈の弁済に供されることになりますので、相続財産の管理と清算が行われることになります。
限定承認をした相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産の管理を継続しなければなりません(民法926条)。共同相続の場合で、相続人が複数人いるときは、家庭裁判所によって、相続人の中から、相続財産管理人が選任されます(民法936条1項)。
そして、限定承認をした相続人(共同相続の場合は相続財産管理人)は、限定承認した後5日以内(共同相続の場合は10日以内)に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者)および受遺者に対し、限定承認をしたことおよび一定の期間内(2ヵ月以上の期間)にその請求の申出をすべき旨の公告をしなければなりません(民法927条1項、936条3項)。また、知れている債権者及び受遺者には各別に催告をしなければなりません(民法927条3項)。
公告期間満了後、限定承認をした相続人は、相続債権者に債権額の割合に応じて相続財産から弁済し、その後に受遺者に弁済することになります(民法929条、931条、936条3項)。弁済に際し相続財産を売却する必要があるときは、原則として競売をすることになります(民法932条)。
エ 相続の放棄
(ア) 相続の放棄とは
相続の放棄とは、相続人の権利義務の承継をすべて拒否することをいいます。相続の効果を全面的に否定するものであるから、条件や期限をつけることは許されません。
(イ) 相続の放棄の方式
相続の放棄をしようとする者は、熟慮期間内に、被相続人の住所地または相続開始地の家庭裁判所に対し、相続の放棄をすることを申述しなければなりません(民法915条1項、938条)。
相続放棄をする相続人が未成年者の場合、親権者(父母)が法定代理人として相続放棄の申述をしなければなりませんが、法定代理人と未成年者が共同相続人である場合には利益相反行為となるため、特別代理人を選任して手続をする必要があります(民法826条1項)。
(ウ) 家庭裁判所の審判
相続放棄の申述がなされると、家庭裁判所は、相続放棄の申述を受理すべきか否かを審査します。家庭裁判所は、申述書の記載について形式的要件を具備しているかどうか審査を行い、熟慮期間の経過の有無や法定単純承認の有無、取消原因の有無などの実質的要件については、要件を欠いていることが明白な場合に限り申述を却下するものと解されています(仙台高裁平成元年9月1日決定、福岡高裁平成2年9月25日決定、仙台高裁平成8年12月4日決定など)。
家庭裁判所の相続放棄の申述受理審判は、相続の放棄が有効であることを確定するものではないため、相続放棄の申述が受理された後も、相続の放棄の有効無効を訴訟で争うこと自体は可能です。
(エ) 相続の放棄の効果
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。
オ 相続の承認および放棄の撤回と相続の承認および放棄の取消し・無効
(ア) 相続の承認および放棄の撤回の可否
相続の承認および放棄は、いったんこれを行うと、熟慮期間中であっても撤回することはできません(民法919条1項)。したがって、相続の承認および放棄をすることの決断は、慎重に行う必要があります。
(イ) 相続の承認および放棄に取消原因がある場合
民法総則編の規定により取消原因がある場合(民法5条2項、9条本文、13条4項、17条4項、96条など)および親族編の規定により取消原因がある場合(民法865条1項、867条1項の場合に同条2項で865条1項が準用される場合など)には、家庭裁判所への申述によって、相続の承認および放棄の取消しをすることができます(民法919条2項、同条4項)。例えば、詐欺・強迫(民法96条)によって承認や放棄をした場合には、これを取り消すことができます。
(ウ) 相続の承認および放棄に無効原因がある場合
また、錯誤によって承認や放棄を行った場合のように、法律上無効原因がある場合には、訴訟において、その有効性を争うことができます(最高裁昭和29年12月24日判決、福岡高裁平成10年8月26日判決)。

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